“贅沢な色” -フェルメール 作 『真珠の耳飾りの少女』を鑑賞する-
目次
作品概要
- 作品名 真珠の耳飾りの少女
- 画家 ヨハネス・フェルメール(1632年~1675年)
- 制作時期 17世紀半ば
フェルメールについて
概要
ヨハネス・フェルメールはオランダ出身であり、バロック期を代表する画家の一人です。
空間認識とそれを再現する能力に優れており、まるで写真のようなリアリティのある絵画を描きました。
生涯
フェルメールは1632年にオランダのデルフトに生まれました。
同世代の画家には、ともにオランダ絵画の黄金時代を築いたレンブラントがいます。
フェルメールの修業時代は謎に包まれています。
22歳の時には既に画壇に名を連ねており、親方として活動していたことがわかりますが、それまでの修業の過程を示す資料は見つかっていません。
23歳の時に父が他界し、フェルメールは家業であった宿屋を継ぎます。
宿屋の収入に加え、ピーテルを始めとするパトロン、裕福であった義母の支援などもあり、フェルメールは自分の画材に惜し気もなく投資をすることができました。
その最たる例は青の絵具の原料となったラピスラズリであり、当時その価値は純金と同じだったそうです。
全盛を誇ったフェルメール、そしてオランダ画壇でしたが、その栄光は急速に衰えます。
17世紀後半に断続的に起こった英蘭戦争はオランダの国土と経済を蹂躙しました。
フェルメールはこれにより、裕福であった義母の援助を失いました。
また、時を同じくして有力なパトロンが亡くなり、フェルメールは次第に困窮していきます。
そして1675年、抱えた負債を処理できないまま、フェルメールは亡くなったそうです。尚、死因は不明です。
鑑賞
あらためて作品を見てみましょう。フェルメール作『真珠の耳飾りの少女』です。
彼の作品の中でも特に有名な絵画であり、目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
光刺す暗室でこちらに気付き振り向く少女。その耳には大粒の真珠が光ります。
まるで写真のようなリアリティと、絵画の持つ神秘性が混在しているように思えます。なによりも前述したラピスラズリを用いたウルトラマリンが美しいですね。柔らかくも鮮やかな青に、時間を忘れて見とれてしまいました。
こちらの絵はオランダのマウリッツハイス美術館に展示されています。
ぜひ一度目にしたいですね。
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