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“カントリールネサンス” ブリューゲル 作『雪中の狩人』を鑑賞する

風景画

作品概要

  • 作品名 バベルの塔
  • 画家 ピーテル・ブリューゲル(1527年?~1569年)
  • 制作時期 1565年ごろ

ブリューゲルについて

概要

ピーテル・ブリューゲルは16世紀に活躍した、オランダの画家です。

日本はおろか、世界的に有名な宗教画を数多く残したにもかかわらず、その生涯を記したものはほとんど現存していません。

また、農民画を多く描いたことでも有名です。

同名の息子もいますが本項では父親のブリューゲルを解説します。

生涯

作品背景

ブリューゲルと言えば宗教画『バベルの塔』が有名ですが、農民たちの姿を多く描く“農民画家”という側面も持ち合わせていました。

特に晩年は、それまでの構図・知識・技術を結集させて農民画を描いた集大成期となります。

 

折しも時代はルネサンスの後期、遠近法を始めとした古代の新知識は再発見から研究・練磨を経て円熟を迎えた時期でした。

またブリューゲルは多くの知識人と交流があったため、宗教・文化への理解が大変に深かったようです。

知識人の多くはキリスト教的な価値観に沿って、農民を“学のない愚か者”と認識しているものが多かったようですが、ブリューゲルは異なった認識を持っていたと言われています。

鑑賞

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あらためて作品を見てみましょう。

ピーテル・ブリューゲル 作『雪中の狩人』です。

 

凍てつくような寒さの中に息づく農村の風景が描かれた作品ですね。

手前には猟犬を連れた狩人たちが獲物を探し、傍らでは婦人たちが焚火を起こしています。

また奥の方では農民たちがホッケーやスケートに興じていますね。

遠近法を効果的に用いることによって、広大な自然とそこに共存する村、そして人々の様々な文化を一つの画面に収めた傑作であり、まさしくルネサンスの農民画の集大成と呼べる作品でしょう。

 

歩き疲れた狩人や、テーブルを持つ農夫の吐息すら伝わってくるようなリアリティ

絵画とは思えないような繊細な筆致が細部まで余念なく及んでおり、犬の毛並みや人物たちの衣服の塗り分け、果ては遠くの山脈の岩肌まで写実的に描かれています。

これは、ブリューゲルが農民・村・それを取り巻く命の全てを尊重していた何よりの証拠であり、他の知識人の認識と一線を画す何よりの証拠でしょう。

 

何人かの評論家たちはブリューゲルに対し“農民たちの心に寄り添い理解した者”と評していますが、正鵠を射る評価だと私も思います。

 

 

この彫刻は、ウィーンの美術史美術館に収められています。(外部リンクに接続します。)

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