“擬人化の祖” -ミュシャ作『4つの花 -百合-』を鑑賞する-

風俗画

作品概要

  • 作品名 4つの花 -百合-
  • 画家 アルフォンス・ミュシャ(1860年~1939年)
  • 制作時期 1898年

ミュシャについて

概要

アルフォンス・マリア・ミュシャはチェコの画家でありグラフィックデザイナーです。

アール・ヌーヴォーを代表する画家で、花や星座、果ては季節といった概念すらも女性として書き上げました。

すなわち擬人化の草分けとなった画家です。

生涯

ミュシャは1860年に当時のオーストリア帝国領に生まれました。

少年時代は聖歌隊に属しており、音楽家を目指していましたが、19歳の時に通ったデッサン学校での経験から芸術の道に進むようになります。

学生として芸術を学ぶ傍らで行っていたエンジニアの職を失いますが、チェコの貴族が彼のパトロンとなったために画家としての技術を磨き続けることができたそうです。

パリ時代

画家としてデビューしたミュシャは仕事を探してパリへと上京します。

そして35歳の時に請け負った仕事で“ジスモンダ”のポスターを描き、これが芸術の都パリで大きな称賛を得ました。以降ミュシャはフランス演劇界の人気絵師となります。

祖国への愛情

その後経済的に安定も安定したミュシャは、チェコへ帰国し連作”スラヴ叙事詩”を描きます。

制作のきっかけは同じくチェコ出身であるスメタナ作曲の“わが祖国”を聞いたことであり、完成までに20年を要したそうです。

以降も故国のためにそのリソースを惜しみなく割き、時には無報酬で政府の仕事を請け負ったそうです。

チェコ国民もまた彼を敬愛し、20世紀後半のアール・ヌーヴォー再評価後は世界中で愛される画家の一人となりました。

鑑賞

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あらためて作品を見てみましょう。

アルフォンス・ミュシャ作『4つの花 -百合-』です。

英語ではリリーですね。

やわらかな色遣いと表情が乙女の慈愛を完璧に表現しています。

くっきりとした輪郭や、イラストタッチにデフォルメされた表現は現代でもするりと受け入れられるでしょう。

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