“華やかさに溺れて” ロートレック 作『ムーラン・ルージュのラ・グリュ』を鑑賞する
目次
作品概要
- 作品名 ムーラン・ルージュのラ・グリュ
- 画家 アンリ・ド・ドゥルーズ=ロートレック(1864年~1901年)
- 制作時期 1891年
ロートレックについて
概要
アンリ・ド・ドゥルーズ=ロートレックは19世紀にフランスで活躍した画家です。
幼くして身障者となったロートレックは父親から疎まれ、以降絵画を精神の柱としました。
彼は艶やかな女性たちに魅力を感じ、その美しさを画くことに心血を注ぎました。
また、ゴッホらと同様に日本文化を愛するジャポニザンの一人でもあります。
生涯
作品背景
ムーランルージュとはパリ市内にあるキャバレー(舞台付きのレストラン、ナイトクラブ)です。
その名は「赤い風車」を意味し、またそれを象徴するように建物の上に赤い風車が乗っています。
歴史は130年に及びますが、今もなお営業を続けています。
ムーラン・ルージュは第三共和政のもとで産声を上げましたが、この後フランスが2度にわたる世界大戦の主戦場になっても営業を続けました。
その歴史の中では、フランク・シナトラやエルヴィス・プレスリーといったそうそうたるミュージシャンが活躍したそうです。
鑑賞
あらためて作品を見てみましょう。
アンリ・ド・ドゥルーズ=ロートレック作『ムーラン・ルージュのラ・グリュ』です。
ポスターの中央では足を高らかに上げる”フレンチカンカン”を踊る女性が描かれていますね。
ロートレックは開業間もないころからこの店に足しげく通い、自身の尽きることのない性欲を満たそうとしたようです。
また同時に、この店の誇る美しいダンサーたちを最大限の愛情でもって描いたそうですよ。
別記事で紹介したように、ロートレックは自身の体のために蔑視を浴び続けました。
その為にアルコール依存症にもなり、また奔放な生活は性病も呼んだようです。
そういった背景のもとでは、ムーラン・ルージュは夢を見せてくれる楽園であると同時に、仮初で彩られた地獄だったのかもしれません。
ポスター背景のシルエットたちは、彼を嘲笑う人々を表すかのようにも見えます。
この作品には、自分へ向けられる差別の眼差しを感じていながらも、一時でもそれを忘れたかったロートレックの悲しみが現れています。
ムーラン・ルージュの公式サイトはコチラ (外部リンクに接続します。)
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