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“無数のドットが織りなす情景” スーラ作『シャユ踊り』を鑑賞する

印象派

作品概要

  • 作品名 シャユ踊り
  • 画家 ジョルジュ・スーラ(1859年~1891年)
  • 制作時期 1890年ごろ

スーラについて

概要

ジョルジュ・スーラは19世紀後半にフランスで活躍した画家です。

印象派の持つ鋭敏な色彩をさらに追及したスーラは、自身のイメージを具現化するために点描法を確立しました。

この表現方法は現在のLEDディスプレイと原理を同じくしており、また彼の確立した一連の様式を指して新印象派と呼ばれました。

生涯

作品背景 -ベル・エポックの夜-

19世紀末になると、フランスに限らずヨーロッパ全体の社会が成熟期を迎えました。

この頃のフランスでは第三共和制がようやくの安定を迎えており、人々の生活にも余裕が出始めます。

 

既に産業革命は終わっており、パリには世界で初めて百貨店と呼ばれる形態の店が生まれました。

町は様々な小売店で彩られ、また夜には、そこかしこでショーや宴が開かれます。

即ち、現代の資本主義経済につながる消費社会が訪れたのですね。

 

そんな夜の街に花を添えたのがフレンチカンカンと言う踊りでした。

女性たちはロングスカートの下にタイツを履き、音楽に合わせて高らかに足を上げます。

その時スカートは煽情的に翻り、さながら観客たちを誘惑するように華やぎました。

 

元は労働者階級の舞踏場で踊られていましたが、経済の繁栄とともにやがて社会の中心へとそれは据えられ、果ては高級売春婦や役者の踊る夜のかがり火となります。

当然その妖艶さと過激さは批判を浴びましたが、それでも尚、フレンチカンカンは酔える人々を魅了し続けたそうです。

 

スーラに限らず、ロートレックなど多くの画家たちもこれを愛したそうですよ。

鑑賞

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あらためて作品を見てみましょう。

ジョルジュ・スーラ作『シャユ踊り』です。

 

“シャユ”とは、騒々しいといった意味で使われた言葉だそうです。

スーラは渾身の作品に対して、直接的ではない題名を付けたのですね。

 

この作品は174×141cmの巨大なキャンバスに描かれました。ほぼ等身大と言えますね。そして彼の他の作品同様に、点描で描かれています。

使用されている色彩は暖色を中心にしていながらも、その向こうに夜の色が見え隠れしています。

 

絵画全体を見ると黄色もしくはオレンジが支配的に感じますが、それらは人物や楽器の周りに纏わり付くように彩られていますね。

それはまるで彼らから溢れ出るエネルギーのようで、さらにそれが熱気のように作品を詩情的に飾っています。

 

この途方もない大作は、才能という言葉だけでは表現しきれない魅力を持っています。

シスレーたちのような王道的印象主義とはまた別ですが、これもまた印象主義の可能性を後世に残した作品と言えるでしょう。

 

 

この作品はオランダのクレラー・ミュラー美術館に収蔵されています。(外部リンクに接続します。)

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