“近代日本画の夜明け” 橋本 雅邦作『竜虎図屏風』を鑑賞する
日本画
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作品概要
- 作品名 竜虎図屏風
- 画家 橋本 雅邦(1835年~1908年)
- 制作時期 1895年(明治28年)
雅邦について
概要
橋本 雅邦(はしもと がほう)は明治から大正にかけて活躍した日本画家です。
文明開化とともに押し寄せた西洋画の流行により、日本画は時代遅れとされ衰退の道を歩んでいました。
橋本 雅邦は親友である狩野 芳崖や西洋画の師アーネスト・フェノロサとともに日本画を再研究し、新たな表現を駆使してこれを再興させました。
ゆえに雅邦は日本画の”近世”と”近代”の橋渡しを行ったと言われています。
生涯
鑑賞
作品を見てみましょう。
橋本 雅邦作『竜虎図屏風』です。
六曲一双の迫力ある屏風ですね。左隻には竹林から現れた2匹の虎が、右隻には雷雲から現れた2匹の龍が画かれており、両者は今まさに相まみえたところでしょう。
雅邦はこの作品の中で、輪郭線を効果的に画き分けています。
例えばしなる竹や、轟く雷雲、龍の手足は太い線で力強く画かれていますが、虎の毛並や立ち込めている雲は輪郭線が画かれていませんね。
これにより作品には剛柔のメリハリが与えられ、両者の間にあるストーリーを見る人それぞれが想像できるようになりました。
また両者の筆致には、これまでの日本画には見られなかった写実性を感じます。
虎も龍も、互いを威嚇しながらもたしなめるように挑戦的な眼差しを送っており、口角などには幾分ユーモラスな印象すら感じます。
過言であるかもしれませんが、ある種のデフォルメされたイラストのような概念も感じました。
この一対の屏風は、近代日本画で始めて重要文化財に指定された作品でもあります。
まさに日本画壇の橋渡しにふさわしい作品と言えるでしょう。
この作品は東京都の静嘉堂文庫美術館に収蔵されています。(外部リンクに接続します。)
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