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“ロココの申し子” -ブーシェ作『ディアナを装うユピテルとカリスト』を鑑賞する-

宗教画

作品概要

  • 作品名 Jupiter In The Guise Of Diana And Callisto(ディアナを装うユピテルとカリスト)
  • 画家 フランソワ・ブーシェ(1703年~1770年)
  • 制作時期 18世紀半ば

ブーシェについて

概要

フランソワ・ブーシェは18世紀に活躍したフランスの画家です。

画家となるべく生れたと言われるほどの天才であり、ロココ最盛期を支えた画家の一人です。

彼の描く神話画はサロンを中心に広がり、上流階級の人々に寵愛されました。

生涯

ブーシェは王政が続く18世紀パリの、刺繍装飾家のもとに生まれました。

彼の生きた時代は王族や貴族の権威が揺れ動いた過渡期であり、その死後いくばくかの後にマリーアントワネットが処刑されています。

 

ブーシェは幼いころから、刺繍家でもある父二コラのもとで絵画を学んでいました。この経験が後の繊細で上品な画風につながるのでしょうね。

 

その後、父の推薦でフランソワ・ルモワーヌのもとで修業します。

ルモワーヌとブーシェの関係は良好ではなかったというコメントがある一方で、ブーシェの絵には少なからずルモワーヌの影響があるようですよ。

 

ルモワーヌのもとを去ったブーシェは、依頼から版画の下絵を描くようになります。

いわゆる下積み修行のようなこの活動は正当に評価され、フランス政府からローマ賞(留学のための奨学金を得ることができる)を与えられました。

しかしながら、侯爵によく思われていなかったブーシェは奨学金を得ることができず、結局自費でイタリアに留学します。

留学先でブーシェは各地を旅しながら、バロック芸術を吸収します。これはルネサンスを学ばんとする他の留学生とは対照的な行動でした。

そしてこの旅の中でローマ神話への知見を深めていきます。

 

帰国後、ブーシェはアカデミーに入会しルイ15世の公妾であるポンパドール夫人と出会いました。

ブーシェは夫人のために多くの絵画や肖像画を描き、その寵愛を集めます。

そしてバロックをさらに繊細なものに昇華させたロココ芸術を描き続け、晩年にはルイ15世筆頭画家及び王立アカデミー院長に就任しました。

 

ブーシェの死後、王政は終わり芸術界のモードはロココから新古典主義に代わります。

時代への嫌悪とともにブーシェの評価は下がりましたが、その画風はルノワールなどへ影響を及ぼしました。

鑑賞

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あらためて作品を見てみましょう。

フランソワ・ブーシェ作『ディアナを装うユピテルとカリスト』です。

 

ディアナはローマ神話における月の女神であり、ユピテルは同神話の主神です。

ローマ神話の神々はギリシャ神話のそれらと同一のものが多く、ディアナはギリシャ神話におけるアルテミスであり、ユピテルはゼウスです。

 

カリストを見初めたユピテルは、カリストが慕うディアナに変装し彼女を誘惑します。

そしてゼウスの子を身ごもったカリストにディアナは激しく怒り、彼女を熊に変えてしまいました。

 

悲しい題材の絵画ながらどことなく感じる優しさはロココの特徴でしょうか。

女神のなめらかな肌触りが伝わってくるようです。

 

こちらの絵画はニューヨークのメトロポリタン美術館に展示されていますので、アメリカに旅行される際はぜひお立ち寄りください。(外部リンクに接続します。)

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