“猛る命” 狩野 永徳作『檜図屏風』を鑑賞する
目次
作品概要
- 作品名 檜図屏風(ひのきずびょうぶ)
- 画家 狩野 永徳(かのう えいとく) 1543年~1590年
- 制作時期 1590年ごろ(安土桃山時代)
永徳について
概要
狩野 永徳は安土桃山時代に活躍した日本画家です。
大画派 狩野派を代表する絵師であり、織田信長や豊臣秀吉、果ては天皇家のためにもその筆を執りました。
既に焼失した作品もありますが、狩野永徳は時代の最前線にいた絵師と言えます。
作品たちの多くは、屏風や障壁画として時代を彩りました。
生涯
制作背景
この作品が画かれたのは、1590年ごろ―つまり永徳の最晩年であると言われています。
檜図屏風は、同時代の公家である八条宮親王に捧げるために画かれました。
屏風はこの後、八条宮家の後継である桂宮家へと系譜を移し、さらに宮家廃絶後は宮内庁→東京国立博物館へと移管されました。
実用的な物に画かれているという性質上、狩野永徳の作品には経年劣化が深刻なものが多く、この作品もまた2000年代に入り大規模な修繕が行われています。
その際には八曲だった屏風が四曲へ改修されました。
鑑賞
あらためて作品を見てみましょう。
狩野 永徳作『檜図屏風』です。
目算ではありますが、樹齢500年はゆうに超えているであろう檜の大木をメインに画かれたダイナミックな作品です。
屏風の基本背景である金地は雲を表現しており、その合間から岩や川が画かれていますね。
この作品において取り立てて注目すべきは、大木の持つ生命力でしょう。
それは樹齢を感じさせないほどに、ましてや画であることを感じさせないほどに悠々と、活き活きとしています。
幹には至る所に白いコケが付いており、この樹が周囲の生命と共生してきたことを示していますね。
永徳は『洛中洛外図屏風』に代表されるような緻密な日本画を得意としていた一方で、この作品のような大胆な構図の作品も描くことができました。
まさに公家の繁栄を示すための、最高の作品と言えるでしょう。
現在この作品は国宝に指定されています。
この東京国立博物館に収蔵されています。(外部リンクに接続します。)
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