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“古典主義を脱却する試み” -コロー作『モルトフォンテーヌの思い出』を鑑賞する-

風景画

作品概要

  • 作品名 モルトフォンテーヌの思い出
  • 画家 ジャン=バティスト・カミーユ・コロー(1796年~1875年)
  • 制作時期 1864年

コローについて

概要

ジャン=バティスト・カミーユ・コローは19世紀フランスの画家です。

ルネサンス→新古典主義の流れをくんでいたアカデミズム絵画を学んだあと、それを脱却し新時代の流行を作り上げました。

それらはバルビゾン派と呼ばれ、のちの印象派に大きな影響を与えました。

生涯

画家になるまで

コローは18世紀末にフランスの織物商人の家に生まれました。

彼の父親は商人として大きな成功を収めており、コローもまた父の意向に従い商人を志します。というより、画家の夢を持ちながらも父の反対で商人としての修業を余儀なくされたようです。

そんな父から許しが出たのは26歳の時でした。画家見習いとしてはあまりにも遅いスタートとなったのです。

コローはフランス人画家であるミシャロンとベルダンの弟子となり、アカデミズム絵画を学びました。

アカデミズム

当時主流であったアカデミズム絵画とは新古典主義を発展させた画風を指します。

そのテーマは“神話と最新芸術の融合”です。

 

ルネサンスは古典的なテーマであるギリシャ神話などを復興させましたが、その堅苦しさに反対する人々もいました。

そこで画家の感性をあえて取り入れてやわらかな表現を目指す”ロマン主義”が生まれたんですね。

アカデミズムは相反する2つの流行を融合させたものでした。

 

しかしのちにコローは、神話や理想世界を描くことそのものを棄却し、ありのままの世界を画く”写実主義”を目指したのです。

旅行

晴れて画家となったコローはフランス各地を旅し、美しい風景に触れました。

またイタリアにも何度か旅行したそうです。

 

コローはとりわけありふれた田舎の風景に魅力を感じるようになります。

そして本項で紹介する“モルトフォンテーヌの思い出”を始めとした傑作を次々に生み出しました。

 

彼は行く先々でキャンバスを広げ、その感動を絵の中にとどめます。

単なる写実性だけでなく自身の感性を取り入れてこそ、バルビゾンという新たな境地が生まれたのですね。

評価

コローの作品は当時のサロンでも高い評価を受けました。コロー自身も精力的に出展していたようです。

前述したようにコローの作風は後世の画家たちに多大な影響を与え、クロード・モネの印象派、アンリ・マティスのフォービズム、パブロ・ピカソのキュビズムなどへと続いたと言われています。

鑑賞

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あらためて作品を見てみましょう。

ジャン=バティスト・カミーユ・コロー作 『モルトフォンテーヌの思い出』です。

 

モルトフォンテーヌはパリ郊外にある静かな湖畔ですが、とある大富豪の所有地であるため現在は立ち入りができません。

作中では湖のほとりで木の実をとろうとする人物が描かれていますね。

コローはここへ旅行した際にこのような理想的な情景を夢見たのでしょうか、それとも実際にこの人たちがいたのでしょうか。

やわらかな日差しと風がそよぐ情景は非常に心地よく、絵画でありながら詩情的な美しさを秘めていますね。

コローもまた自身の作品から旅行時の感動を得たかったのでしょう。

 

この作品はサロンに出展された時に皇帝ナポレオン三世が購入し、現在はフランスのルーブル美術館に所蔵されています。

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