“涼しさを画いて見せよう” 円山 応挙 作『青楓瀑布図』を鑑賞する
目次
作品概要
- 作品名 青楓爆風図
- 画家 円山 応挙(1733年~1795年)
- 制作時期 1787年(天明7年)ごろ
応挙について
概要
円山 応挙(まるやま おうきょ)は江戸時代に活躍した日本画家です。
桃山時代から続く狩野派の画術を修得した応挙は、それをさらに昇華させ『円山派』を作りました。
日本画ながら高い写実性を持つ彼の流派は、数百年に渡り日本画壇主流の流派となりました。
生涯
制作背景
円山応挙は、近代日本画家の中でもとりわけ写生を大切にした画家です。
記録によると、彼はいつも胸中に写生帖を忍ばせ、折を見ては対象物を写し取っていたそうです。
その結果、当然彼は抜きん出た画力を身に着けますが、それと同時に、写実的な作風に傾倒しすぎることはせず、伝統的な日本画の題材や構図も大切にします。
つまり、伝統的日本画に見られるような力強い筆使いも、彼オリジナルの繊細な筆致も使い分けることができたのですね。
例えば本作で挙げる作品のように、岩などの静物は強く、植物や動物などは繊細な筆で画いたのです。
鑑賞
あらためて作品を見てみましょう。
円山 応挙 作『青楓瀑布図』です。
轟く滝の手前に楓(カエデ)の枝が画かれており、その下には詩が添えられていますね。
楓は世界に広く生息する落葉樹です。(一説によれば、その形がカエルの手に似ていることから、「蛙手→カエデ」となったそうですよ。)
日本では“モミジ”として秋の風物詩に数えられていますが、厳密には、葉の切れ込みが深いものだけをモミジと呼びます。
前述したように、応挙は筆致の使い分けや情景の表現が非常に巧みな画家ですが、この作品にもそれは如実に表れていますね。
まず始めに注目したいのは、滝と楓です。
応挙が画いた滝は、流れが直線的で清廉さと気品を感じさせるものですが、その前方に画かれた楓が良いアクセントになっています。簡素な枝振りでありながらも画全体の雰囲気を引き締めていますね。
しかしながら視線を落としますと、上の景色とは打って変わった雄々しい自然を感じることができます。
轟く水流は時として水飛沫を踊らせつつ、滝壺の岩に打ち付ける。
太く逞しい筆致で画かれた岩の存在感は大きく、それ故に、繊細な雰囲気を纏う楓との対照性も楽しむことができましょう。
同時代の日本画家とは異なり、円山応挙は水の色を限りなく白くしました。
それは画全体の色彩を静かにしつつ、夏の山中にふっと現れた清涼感を表すことに成功しています。
写実性を独創性を両立した、応挙ならではの作品ですね。
この作品はサントリー美術館に所蔵されています。(外部リンクに接続します。)
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