“琳派の祖” -俵屋 宗達作『風神雷神図屏風』を鑑賞する-

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作品概要
- 作品名 風神雷神図屏風
- 画家 俵屋 宗達(???年~1640年)
- 制作時期 17世紀(寛永期)
宗達について
概要
俵屋 宗達(たわらや そうたつ)は江戸時代初期の日本画家です。
生まれた年は不明である他にも謎の多い画家ですが、琳派の開祖の一人と言われています。
ここには自分の調べた限りの情報を記しますので、あいまいな部分はお許しください。基本的には彼が率いた絵画集団”俵屋”が関わったであろう作品や、著名人たちの作品に参加した経歴から推測をしています。
生涯
宗達は桃山時代の京都に生まれたと考えられます。
前述した”俵屋”は宗達を代表とした絵画工房であり、屏風や扇の絵付けを行っていました。
江戸時代開幕を目前に控えた1602年には福島 正則の命令で『厳島経』の修復に関わったり、
1630年には後水尾天皇の命で屏風を制作しています。
尚、福島 正則とは賤ヶ岳の七本槍に数えられた大武将であり、江戸時代には広島藩を率いた大名です。
そうそうたる面子が宗達たちに依頼していたんですね。
本阿弥光悦とは嵯峨本の挿絵などの交流があり、光悦と宗達は日本古来の大和絵を発展させた琳派を作り上げます。
琳派の特長はその華やかさにあります。
尾形光琳ほか以降の日本画や狩野派の画にも共通していますが、金地をベースにした動植物は天上の理想世界を想起させます。
また、わざと多種の絵具をにじませる“たらしこみ”も面白いですね。
琳派が及ぼした影響は甚だしく、後世の日本画はおろか印象派などヨーロッパの絵画界にも彼をインスパイアした画家がいたそうですよ。
古い画法を尊重しつつ新しい技術や構図をもって新時代の芸術へと昇華させる。
“温故知新”を体現し、未来への芸術発展性すら見出したことが評価されたのでしょう。
その他宗達には高僧や茶人としての側面もあったそうです。
俵屋宗達は多岐に秀でた時代の寵児だったんですね。
鑑賞
あらためて作品を見てみましょう。
俵屋 宗達 作『風神雷神図屏風』です。
風神と雷神は古今東西多くの絵師たちが描いてきたテーマですが、日本人であればこちらの作品を想像される方が多いのではないでしょうか。
当然、俵屋 宗達のもっとも有名な作品です。
注目すべきは、この作品が前述した琳派の特長の結晶といえる点です。
屏風の両端ぎりぎりに配置された2柱の神は、大胆な構図への挑戦であり
たらしこみでにじませた雲は、我々の目を自然と神々に誘導しつつ画に奥行きを与えます。
そして金地に描かれた神々の恐ろしくもユーモラスな表情は、天下泰平の江戸時代にふさわしい華やかさを持ちます。
見ているだけでパワーをもらえそうですね。
この作品は京都国立博物館に収蔵されています。
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