“雅な日本をここに” 俵屋 宗達 作 『松島図屏風』を鑑賞する
目次
作品概要
- 作品名 松島図屏風
- 画家 俵屋 宗達(???年~1640年)
- 制作時期 17世紀ごろ
宗達について
概要
俵屋 宗達(たわらや そうたつ)は江戸時代初期の日本画家です。
生まれた年は不明である他にも謎の多い画家ですが、琳派の開祖の一人と言われています。
ここには自分の調べた限りの情報を記しますので、あいまいな部分はお許しください。
基本的には彼が率いた絵画集団”俵屋”が関わったであろう作品や、著名人たちの作品に参加した経歴から推測をしています。
生涯
作品概要
この作品は江戸時代の初期に、大阪の商人の依頼によって製作されたものです。
宗達の代表作であるこの作品は、完成後祥雲寺に寄贈されましたが、明治時代の中頃にアメリカへ輸出されてしまいました。
今でこそ有名な宗達ですが、明治期までの日本においてその知名度は意外に低かったそうです。
しかし、天才的な着眼点と技法で画かれた日本の情緒は、海外のコレクターを唸らせました。
故に海を渡ったこの作品も、日本に残っていれば確実に国宝に指定される逸品だそうです。
ただし名前に反して、この作品は宮城県の松島を画いたものではないそうですね。
実際には大阪の住吉の海岸を画いた物のようで、題名も完成当初は『荒磯屏風』だったそうです。
鑑賞
あらためて作品を見てみましょう。
俵屋 宗達 作『松島図屏風』です。
琳派ならではの絢爛な雰囲気を踏襲しつつも、画面の大半がうねり狂う波という珍しい作品です。
離れ小島や松の緑の表現には、宗達ならではのたらしこみの技法が採用されており、作品に優雅さと柔らかさを与えていますね。
それ故にこの作品は荒々しい磯の風景を雅に演出することに成功しており、外国人はおろか、日本人ですらも見惚れてしまうほどの“日本の美しさ”を感じさせてくれます。
波たちは互いが折り重なるように画かれ、いたるところで飛沫が上がっていますね。
しかし一つ一つの線が柔らかく、また飛沫に乳白色で透明感のある顔料を用いられているため、五月蠅さを感じません。
宗達は葛飾北斎よりも200年近くも前に、荒れる海の一瞬を切り取っていたのですね。
この作品はアメリカののフリーア美術館に所蔵されています。(外部リンクに接続します。)
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