“光の魔術師” ライト作『鍛冶屋の仕事場』を鑑賞する
風景画
目次
作品概要
- 作品名 鍛冶屋の仕事場
- 画家 ジョセフ・ライト(1734年~1797年)
- 制作時期 18世紀
ライトについて
概要
ライトは18世紀に活躍したイングランドの画家です。
彼は明暗法の扱いに長けた画家で、風景画や肖像画を得意としていました。
ライトの生きた時代は啓蒙時代と呼ばれており、錬金術から発展した科学と、それまでの社会の中核を担っていた宗教が衝突した時代でもありました。
生涯
ライトはイングランド中部のダービーに生まれました。
父は弁護士や役人として働いていたそうなので、ライト自身も子供の頃から教養を身につけていたと思います。
芸術に関しては、当初独学で学んだのち、17歳でロンドンの肖像画家に弟子入りしました。
その後は故郷ダービーを中心に肖像画家として生計を立てていきます。
30歳前後で、ろうそく等の光源を用いた明暗法の表現を身につけ、のちに彼の代表作ともなる『太陽系儀の講義』を製作しました。
30歳半ばからは故郷を離れ、肖像画家として生計を立てつつも『鍛冶屋の仕事場』や『鉄工場』といった近代的な街の風景を描きました。
またライトは、イタリア滞在中に見たヴェスヴィオ火山の噴火に感銘を受け、その後、多くの絵でこれを題材としたそうです。
鑑賞
あらためて作品を見てみましょう。
ジョセフ・ライト作『鍛冶屋の仕事場』です。
『鍛冶屋の仕事場』はライトが1771年に制作した絵画です。
鉄の精錬過程で見られる光熱で、前述の明暗法を表現していますね。
中央と左下に光源である鉄を配置し、そこから発せられる光だけが人物を照らしています。
鍛冶職人の活き活きとした仕事風景もさることながら、科学への神秘性も表現されているように思えます。
この作品はダービー美術館に収蔵されています。
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