“巨匠の見た水辺” クロード・モネ作『柳のある明るい朝』を鑑賞する
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作品概要
- 作品名 柳のある明るい朝
- 画家 クロード・モネ(1840年~1926年)
- 制作時期 1920年ごろ
モネについて
概要
クロード・モネは19世紀のフランスの画家です。
当時軽んじられていた風景画の制作をの中で独自の技法を次々に編み出し、ルノワールやシスレーらとともに、のちに印象派と呼ばれる画風を築いた人物です。
現代の価値観と異なり存命中のモネの評価は終生高くありませんでしたが、彼は一貫して印象主義絵画を作り続けました。
また、浮世絵を始めとした日本文化の収集家、所謂ジャポニザンでもありました。
生涯
制作背景 -最後の大仕事-
70歳のはじめ頃、モネは睡蓮の大装飾画の作成を計画します。
老化により彼の視力は低下しており、さらに計画立案の2年後には妻が永眠しましたが、彼の制作熱は消えず、専用の巨大なアトリエを立てて作品に向かいます。
折しもヨーロッパでは第1次世界大戦が始まりましたが、フランス政府に画家として協力していたモネは優先的に物資を供給してもらうことで、この計画も進めることができたそうです。
なお当時の首相はモネの友人だったそうで、彼は戦争の勝利を祝ってこの作品を国に寄贈することにしました。
その大きさは見るものを全員圧巻させるもので、キャンバスサイズは高さ2m・幅4.3mもあります。
さらに同キャンバス4つの連作であり、作品展示には専用の部屋が作られました。
批判されながらも自身の芸術を探求してきた画家は、ついに絵画で国を牽引する英雄になったのですね。
モネは残りの寿命をとしてこの作品の制作にかかり、完成後まもなくその生涯を閉じました。
鑑賞
あらためて作品を見てみましょう。
クロード・モネ作『柳のある明るい朝』です。
モネが構想した大装飾画とは、室内の壁を”睡蓮”で埋め尽くすというものでした。
それは、作品を楕円形の室内の四方の壁それぞれに配置するというものであり、各作品には固有のテーマが充てられました。
この作品は名前の通り、さわやかな朝というテーマが与えられています。
一対の柳の間には睡蓮が浮かぶ湖が広がっており、中央上部に向かって明るくなっていく湖面が、暖かな日差しを迎えていますね。
寄ってみますと、この作品が無数の色で構成されていることがわかります。また、柳の輪郭は非常にあいまいに描かれているため、鑑賞者の注目は自然と湖面に向かうようになっていますね。
実在の風景でありながらどこか幻想的で、また穏やかな優しさを持つ。
まさに印象派絵画の持つ性質や可能性を体現した、美術界の遺産と言えましょう。
この作品はフランスのオランジュリー美術館に収蔵されています。(外部リンクに接続します。)
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