“バロック芸術貢献人” -カラッチ作『聖母戴冠』を鑑賞する-
目次
作品概要
- 作品名 聖母戴冠
- 画家 アンニーバレ・カラッチ(1560年~1609年)
- 制作時期 16世紀末
カラッチについて
概要
アンニーバレ・カラッチは16世紀のイタリアで活躍したボローニャ派の画家であり、
また、イタリアでのバロック芸術の成立に大きく貢献した画家の一人です。
後進の育成にも熱心で、カラッチの門下からは多くの芸術家が排出されました。
生涯
カラッチは1560年にボローニャで生まれました。
兄アゴスティーノや従兄ルドヴィーゴのように彼の家系は他にも芸術家を輩出しています。
カラッチの初期の作品にはキリスト教や古代神話を題材にした宗教歴史画が多くあり、これらは宮殿の装飾画として使われていました。
このような古典芸術への傾倒が後のバロック様式につながったと考えられます。
また、カラッチは仲間たちとともに芸術家のための学校も創立しました。
そこでは人体描写や古典彫刻の模写などが行われていたそうです。こうした取り組みが良い芸術家を作り出すことにつながったのですね。
晩年、カラッチは自らが仕えていた、ファルネーゼ宮殿の天井画の装飾を行いました。この天井画の迫力はすさまじく、かのサン・ピエトロ大聖堂にも比肩しうると言われています。
しかし、弟子たちを総動員して制作した大作ながら、その報酬は予想外に少なく、カラッチはうつ病となりました。
以降の制作意欲は衰えていったそうです。
そして極度のうつ状態のまま、カラッチは熱病に侵されてその生涯を閉じました。
鑑賞
あらためて作品を見てみましょう。
アンニーバレ・カラッチ作『聖母戴冠』です。
『聖母戴冠』は他にもボッティチェリやエルグレコが描いているポピュラーなテーマですが、カラッチの場合、バロック様式らしいメリハリのある色使いや、主たるものを強調した構図が特徴ですね。
また、登場人物の体躯もバロック様式らしく、理想化された人体図を表現しています。
メインを中央に配置した楕円形の構図もバロックらしいものと言えるでしょう。
こちらの絵画はニューヨークのメトロポリタン美術館に展示されていますので、渡米される際はぜひお立ち寄りください。(外部リンクに接続します。)
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