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“最高峰の彫刻家” 中編 ミケランジェロ 作『システィーナ礼拝堂天井画』を鑑賞する

宗教画

作品概要

  • 作品名 システィーナ礼拝堂天井画
  • 画家 ミケランジェロ・ブオナローティ(1475年~1564年)
  • 制作時期 1510年ごろ

ミケランジェロについて

概要

ミケランジェロ・ブオナローティは15~16世紀に活躍したイタリアの芸術家です。

ラファエロダ・ヴィンチらと同じくルネサンスの最盛期を作り上げた巨匠であり、彫刻家としての活動以外にもフレスコ画や絵画、詩など多岐に活動しました。

加えてその全てが後世に大きな影響を与えたため、西洋美術史最高峰の芸術家と言われています。

生涯

ローマへ

枢機卿の招きでミケランジェロは21歳の時にローマへ移住し、翌年には代表作“ピエタ”を制作します。

神話上の人物たちをモデルとしながら強い写実性や活力に満ちたこの作品は奇跡と賞されました。

ルネサンス後期の芸術家にして作家であるジョルジョ・ヴァザーリは著作の中で、

「間違いなく奇跡といえる彫刻で、単なる大理石の塊から切り出されたとは到底思えない、あたかも実物を目の前にしているかのような完璧な作品」

と絶賛しています。

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フィレンツェの変化

メディチ家が追放されたフィレンツェは大きな変化を余儀なくされます。

ミケランジェロは24歳からの2年間をフィレンツェで過ごし、愛する故郷のために“ダヴィデ像”を制作しました。

これはフィレンツェが自立し、自らの力で反映していくための願いが込められています。

この彫刻もまた”ピエタ”同様にミケランジェロの最高傑作の一つと言われています。

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再びローマへ

ダヴィデ像の完成間もなく、ローマ教皇はミケランジェロに装飾画の制作を依頼します。世界的に有名なシスティーナ礼拝堂の天井画ですね。

システィーナ礼拝堂はこれより25年前に完成しており、教皇の住まいであるとともに新しい教皇を選出するコンクラーヴェの場でもあります。

 

装飾画の制作を命じたのは教皇ユリウス2世であり、彼は並行して自身の霊廟の制作も銘じています。

ミケランジェロは霊廟の制作中に、システィーナ礼拝堂を始めとした多くの仕事を引き受けていたため、廟が完成したのは40年後でした。

鑑賞

 

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あらためて作品を見てみましょう。

ミケランジェロ・ブオナローティ作『システィーナ礼拝堂天井画』です。

 

ここには『天地創造』『アダムとイヴの原罪』を含むキリスト教の多くの神話が描かれています。

それらはカトリックの教義やその意義を示すための最高のシンボルとなり、500年経ってもなお巡礼者が多く訪れ続けています。

 

ミケランジェロにはもともと十二使徒の画の制作が命じられていました。しかし彼はこれを放棄し、原罪を始めとした人類の堕天とその救済“創世記”から引用するかたちで画きました。

本項で紹介しているように、この天井画は真下から見上げた時に最大の感動を得ることができます。

礼拝堂天上の構造を熟知し、かつ視覚効果を完璧に把握していることがわかります。

画には奥行きが広がっており、人物はすべて立体感を持っています。このうちのどれかが彫像であったとしても見抜くことは不可能でしょう。

 

現代人はプロジェクションマッピングを用いてようやくこの域に達しました。

 

システィーナ礼拝堂はヴァチカン市国にあります。

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